こんにちは☀
ガイソー山梨店です!
皆様のご自宅の屋根はどのような形状をしているでしょうか。
日本の一般住宅の屋根には「切妻屋根」や「寄棟屋根」、「方形屋根」などの様々な形状が存在しますが、「自分の家の屋根がどのような形をしているのかは分かるが、何という名称なのかは分からない……」という方が多くいらっしゃると思います。
さらに、屋根の形状ごとに様々なメリット・デメリットがあり、形状によっては建物全体の寿命を縮めかねないほどの大きなデメリットが存在する場合もあります。
そのため、ご自宅の屋根がどの形状にあたるのかを把握していないと、そのデメリットを知らないままご自宅の劣化が進行してしまう可能性が高くなってしまいます。
そこで今回は、「切妻屋根」・「寄棟屋根」・「方形屋根」といった 屋根の形状 ごとのメリット・デメリットについて解説していきたいと思います!
①切妻屋根(きりづまやね)
切妻屋根とは、「2つの傾斜面と1つの棟(屋根の頂上にあり、屋根面同士を接合する部分)から構成される屋根」のことで、上空から見るとまるで開いた本を裏返したかのような形状をしています。
もし「何も見ずに屋根の絵を描いてみて」と言われたら、皆様の多くが切妻屋根を描かれるのではないでしょうか。それほど切妻屋根は日本の多くの住宅で採用されている形でもあります。
切妻屋根の「妻」とは屋根の「端」のことを指しており、まるで「屋根の端を切った」かのような形状をしていることから切妻屋根と呼ばれるようになったとされています。
屋根を見た際に、棟に対して屋根面が平行になっている側を「平側」、2つの傾斜面がまるで「へ」のような形状をしている側を「妻側」と呼びます。
妻側には「破風」と呼ばれる板が張り付けられており、屋根と外壁の隙間部分から雨風が入り込み、屋根内部の雨漏りや腐食の発生を未然に防ぐことができます。
切妻屋根のメリット
切妻屋根には、以下のようなメリットがあります。
- 価格が安く、工期も短い
- 水はけの良さから雨漏りが起こりにくい
- 屋根の積雪量を減らすことができる
価格が安く、工期も短い
切妻屋根は「2つの屋根面と1つの棟のみ」と非常にシンプルな形状であることから、設置工事やリフォーム工事の際にかかる費用を安く抑えることができます。
さらに、工程の少なさから他の屋根に比べて工事期間が短いこともメリットとして挙げられます。
「屋根の工事にかかるコストをできるだけ削減したい」という方は切妻屋根がおすすめです。
水はけの良さから雨漏りが起こりにくい
切妻屋根には、屋根の傾斜によって「水はけが良い」というメリットがあります。
屋根に傾斜があることで、雨水が屋根に留まらずに雨樋にまで送り届けられるため、屋根の雨漏りを未然に防ぐことができます。
加えて、切妻屋根には雨水の侵入口となりやすい棟が1つしか存在しないので、万が一屋根の雨漏りが発生したとしても、その原因となった箇所をすぐに突き止めることが可能です。
屋根の積雪量を減らすことができる
また、切妻屋根には雨水だけでなく雪も溜まりにくいため、「落雪の危険性が低く、屋根にかかる負担も少ない」というメリットも存在します。
関東地方では豪雪地帯に比べて恩恵を受ける機会が少ないかもしれませんが、近年では関東地方でも大雪が降ることが増えてきたため、大雪対策として切妻屋根の採用は有効と言えるでしょう。
切妻屋根のデメリット
反対に切妻屋根のデメリットとしては、以下の2点が挙げられます。
- 妻側の外壁が劣化しやすい
- 屋根の個性を出しにくい
妻側の外壁が劣化しやすい
屋根には「雨風や紫外線を遮ることで、外壁の劣化を抑制する」という役割があるのですが、切妻屋根の妻側には外壁よりも外側にある屋根が存在しないため、雨風や紫外線が遮られることなく外壁に当たってしまいます。
そのため、平側と妻側の外壁で劣化具合に差が出てしまうことがあります。
ご自身で外壁の状態をチェックされる際は、平側だけでなく妻側の外壁の状態も確認するようにしましょう。
屋根の個性を出しにくい
切妻屋根は前述の通り、日本の多くの住宅で採用されている屋根の形状となるため、「屋根に個性を持たせることが難しい」というデメリットも存在します。
屋根材の色やデザインを変えることで屋根に個性を持たせるという方法もありますが、「他の住宅と被らない屋根にしたい!」というようにご自宅の外観にこだわりを持っている方にとって、屋根の個性の幅が狭まってしまうのはマイナスと言えるでしょう。
②寄棟屋根(よせむねやね)
寄棟屋根とは、「4つの傾斜面と5つの棟によって構成されている屋根」のことで、上空から見ると2つの三角形と2つの台形が現れるのが特徴です。
日本だけでなく、世界中の多くの住宅で採用されている形状となります。
「寄棟」屋根は、おそらく大棟(最も高いところに存在する棟)に向かって4つの隅棟(軒の隅に向かって伸びた棟)が伸びている、つまり隅棟が大棟に「寄っている」ことから名付けられたと推測されます。
寄棟屋根のメリット
寄棟屋根のメリットとして、以下の2点が挙げられます。
- 全方向の外壁を雨風や紫外線から守れる
- 和風・洋風のどちらの住宅にも合わせられる
全方向の外壁を雨風や紫外線から守れる
寄棟屋根は東西南北すべてに屋根面が存在するため、外壁に当たる雨風や紫外線を遮り、塗膜の劣化を未然に防ぐことができます。
ご自宅の屋根の形状を寄棟屋根にすることで、屋根が外壁を保護し、建物全体の寿命を伸ばしてくれるようになります。
さらに、寄棟屋根は「優れた耐風性を持っている」という特長があります。すべての方角に屋根面があることで、どの方角から吹いてきた風であっても受け止めることができます。そのため、台風などによって強風が吹いたとしても、屋根材の飛散を防止することが可能です。
和風・洋風のどちらの住宅にも合わせられる
寄棟屋根は非常にシンプルでありながら重厚感のある形状なので、あらゆる雰囲気の住宅にも違和感なく採用することができます。
屋根材を瓦にすれば和風、スレート屋根にすれば洋風といったように、屋根材を変更することで建物全体の雰囲気をガラリと変えることが可能であるため、「自宅のイメージチェンジを行いたい!」という方には寄棟屋根がおすすめです。
寄棟屋根のデメリット
反対に寄棟屋根のデメリットとして、以下の3点が挙げられます。
- 工事費用が高くなりやすい
- 屋根裏部屋のスペースが小さくなる
- 太陽光パネルの設置が難しい
工事費用が高くなりやすい
寄棟屋根は、「設置やリフォームなどで工事費用が高くなりやすい」というデメリットを持っています。
2つの傾斜面と1つの棟だけで構成されている切妻屋根に比べて、寄棟屋根は4つの傾斜面と5つの棟が存在しており、さらに傾斜面には三角形と台形の2種類があるという複雑な形状をしています。
そのため、寄棟屋根の設置工事やリフォーム工事では、他の屋根よりも材料費や作業費がかさんでしまいます。
屋根裏部屋のスペースが小さくなる
寄棟屋根には「屋根裏部屋のスペースが小さくなってしまう」というデメリットも存在します。
屋根裏部屋の天井の高さは屋根の勾配によって変わるため、すべての屋根面が傾いている寄棟屋根だと屋根裏部屋の天井が低くなりやすいのです。
寄棟屋根のご自宅に住まれており、屋根裏部屋を収納スペースや寝室にしようと検討されている場合は、用途に適したスペースを充分に確保できるかどうかしっかりと確認されることをおすすめいたします。
太陽光パネルの設置が難しい
また、寄棟屋根は4つの傾斜面で構成されていることから、屋根面それぞれの面積は小さくなってしまいます。
そのため、太陽光パネルを設置するためのスペースを充分に確保することができません。
太陽光パネルの設置を検討されている、もしくは既にご自宅の屋根に太陽光パネルを設置されている方には、寄棟屋根はあまり適していないと言えるでしょう。
➂方形屋根(ほうぎょうやね)
方形屋根とは、「4つの傾斜面と4つの棟によって構成されている屋根」のことで、上空から見るとピラミッドのような形状をしています。
寺社建築でよく用いられてきた形状なので、一般住宅では切妻屋根や寄棟屋根に比べてメジャーではありません。しかし、間取りが正方形である場合は方形屋根が採用されることもあります。
宝形屋根のメリット
方形屋根のメリットとして、以下の2点が挙げられます。
- 雨や雪をバランスよく分散できる
- 四方すべての外壁を雨風や紫外線から保護できる
雨や雪をバランスよく分散できる
方形屋根はそれぞれの屋根面の勾配が共通しているので、屋根に溜まった雨水や雪を均等に分散することができます。
雨水や雪が一部の屋根面に偏ることがないため、重量オーバーによって屋根が破損してしまうといったことがありません。
また、方形屋根は4つの三角形によって構成されていることから、屋根に降ってきた雨水や雪がそもそも積もらずに雨樋まで送られる場合もあります。
四方すべての外壁を雨風や紫外線から保護できる
さらに、方形屋根は四方すべてに屋根面が存在するため、寄棟屋根と同様に、外壁に当たる雨風や紫外線を遮ることができます。
外壁の塗膜の劣化を抑制することが建物内部への雨漏りや腐食の防止につながるので、ご自宅の間取りが正方形である場合は、方形屋根を採用することによって建物全体の寿命を伸ばすことが可能です。
宝形屋根のデメリット
反対に方形屋根のデメリットとしては、以下の2点が挙げられます。
- 頂点からの雨漏りが発生しやすい
- 太陽光パネルの設置がほぼ不可能
頂点からの雨漏りが発生しやすい
方形屋根には大棟が存在せず、4つの棟が重なる部分(屋根の頂点)をコーキングによって固定しているため、コーキングの劣化によって屋根内部に雨水が侵入する可能性があります。
コーキング材が雨水や紫外線に当たり続けると、可塑剤が表面に溶け出して「肉やせ」や「ひび割れ」などの症状が現れます。その状態で放置すると、今度はコーキングが真ん中から裂ける「破断」という症状が出てしまいます。
コーキングの劣化症状については過去のコラムで取り上げさせていただいたので、今回は各症状について詳しく解説しませんが、とにかく「コーキングの劣化が進行すると、建物内部に大量の雨水が入り込みやすくなってしまう」という点を抑えていただければ問題ありません。
方形屋根も例外ではなく、雨水の侵入によって屋根内部の雨漏りや腐食につながることがあります。
そして、屋根内部の雨漏り・腐食が進行することで室内にも雨水の影響が広がり、建物全体の寿命が縮まってしまいます。
そのような事態を未然に防ぐために、定期的に屋根の頂点のコーキングを打ち替える必要があるのですが、目視によるチェックが非常に困難であることから、雨漏りが発生するまでコーキングの劣化に気が付かないということも多々あります。
太陽光パネルの設置がほぼ不可能
また、方形屋根にはその形状から「太陽光パネルの設置がほぼ不可能である」というデメリットもあります。
2つの三角形と2つの台形によって構成されている寄棟屋根に対し、方形屋根はすべての屋根面が三角形なので、寄棟屋根以上に全体の面積が小さくなるからです。
寄棟屋根と同じく、太陽光パネルの設置を検討されている方には方形屋根はおすすめできません。
まとめ
以上、「切妻屋根」「寄棟屋根」「方形屋根」それぞれのメリット・デメリットについてお話しさせていただきました。
設置やリフォームの際の工事費用を安く抑えたいのであれば「切妻屋根」、全方位の外壁を雨風や紫外線から保護し、建物全体の寿命を伸ばしたいのであれば「寄棟屋根」、ご自宅の間取りが正方形かつ、屋根を雨水や雪から守りたいのであれば「方形屋根」といったように、ご自身の希望やご自宅の状況に合わせて屋根の形状を決めるようにしましょう。
次回も引き続き屋根の形状について解説していきたいと思います!
屋根のリフォーム工事を検討されている方は、ぜひお気軽にガイソー山梨店にご相談ください!(*^^*)