こんにちは☀
ガイソー山梨店です!
皆様のご自宅の屋根はどのような形状をしていますか?
日本の住宅の屋根には非常に様々な形状が存在しています。
ご自宅の屋根の形は把握していても、その名称や特徴については知らないという方も多くいらっしゃいます。
屋根の形状にはそれぞれ特有のメリット・デメリットがあり、形状によっては家全体の耐久性に影響を及ぼすほどのデメリットを持っていることも。そのため、自宅の屋根の形状とそのメリット・デメリットをしっかりと把握していないと、気が付かないうちにご自宅の劣化が進行していた……ということもあり得ます。
そこで今回は、前回に引き続き「片流れ屋根」・「陸屋根」・「招き屋根」・「差し掛け屋根」といった 屋根の形状 ごとのメリット・デメリットについて解説していきたいと思います!
④片流れ屋根(かたながれやね)
片流れ屋根とは、「1つの傾斜面と1つの棟から構成される屋根」のことを指しています。要するに、1枚の大きな屋根面が斜めに設置された屋根のことで、屋根の形状の中でも非常にシンプルです。
形状自体はシンプルでありながら、建物全体で見るととてもスタイリッシュな外観となることから、近年人気が増しています。
片流れ屋根は「屋根面が片方に流れている(傾いている)」ことから、そのような名称が付けられたのだと推測されます。
片流れ屋根のメリット
片流れ屋根には、以下のようなメリットがあります。
- 工事費用を安く抑えられる
- ソーラーパネルの設置が可能
- 窓を高所に取り付けることができる
工事費用を安く抑えられる
片流れ屋根は「1つの傾斜面と1つの棟のみ」と、切妻屋根以上にシンプルな形状をしていることから、「工事費用を安く抑えることができる」というメリットがあります。
複数の屋根面が存在する形状だと、接合部の保護のために板金を取り付ける必要があります。しかし、片流れ屋根であれば屋根の頂上に取り付ける板金が1つあればいいので材料費を安くすることができます。
また、軒先に取り付ける必要がある雨樋も、片流れ屋根の場合は一方向だけの設置で問題ありません。そのため、全体的な工程が他の形状よりも少なく、工事期間も短くなります。
ソーラーパネルの設置が可能
片流れ屋根は1つの大きな屋根面だけで成り立っているため、ソーラーパネルを設置することができます。
さらに、南に向かって傾いている片流れ屋根であれば太陽光を長時間受け続けることができるため、太陽光を効率よく変換して大量の電気を生み出すことが可能となります。
ソーラーパネルを最大限に活用したいと考えられている方には片流れ屋根がおすすめです。
窓を高所に取り付けることができる
片流れ屋根は片方にしか傾斜面が存在しないことから、「他の形状に比べて高所に窓を設置することができる」というメリットもあります。
窓を高所に設置することで、建物の外観をスタイリッシュにすることができます。
さらに、屋根裏にあたるスペースに窓を取り付けることで、屋根裏部屋でありながら日当たりが良く開放感のあるスペースにアレンジすることも可能となります。
片流れ屋根のデメリット
反対に片流れ屋根のデメリットとしては、以下の2点が挙げられます。
- 雨漏りが発生しやすい
- 外壁の劣化が進行しやすい
- 雨樋が劣化しやすい
雨漏りが発生しやすい
片流れ屋根は一見すると水はけが良さそうに思えるのですが、実は屋根の形状の中でも「雨漏りが発生しやすい」という大きなデメリットを持っています。
片流れ屋根の棟付近に落ちた雨水は、棟から屋根の裏を伝って地面に流れ落ちます。その過程で屋根と外壁の接合部に雨水が入り込むことで、建物内部の雨漏りや腐食が発生してしまうのです。
外壁の劣化が進行しやすい
傾斜面が1つだけということは、屋根に当たった雨水のほとんどがその方向に向かって流れ落ちるということでもあるため、一方向の外壁だけが大量の雨水を受けてしまいます。
外壁の塗膜の劣化が始まっていた場合、雨水を大量に吸い込むことで劣化が急速に進行し、建物全体の寿命が縮まってしまう可能性もあります。
それ以外の外壁には三方向には小さな軒・ケラバしか存在しない(全く存在しない場合もある)ため、屋根によって紫外線や雨風を遮ることがほとんどできません。
そのため、紫外線や雨風を多く受けることで外壁の塗膜の劣化が起こりやすくなってしまいます。
いずれにせよ、「片流れ屋根を採用している住宅の外壁は劣化しやすい」という重大な問題があるので片流れ屋根での施工を検討されている方は注意が必要です。
雨樋が劣化しやすい
片流れ屋根には基本的に雨樋が1つしか取り付けられないので、大量の雨水を受けることによって雨樋が破損してしまう可能性もあります。
雨樋が破損すると、ほとんどすべての雨水が外壁にそのまま流れ落ちることになるため、外壁の塗膜の劣化が進行してしまいます。
片流れ屋根に取り付けられている雨樋は、特に定期的なメンテナンスが重要となります。
⑤陸屋根(りくやね・ろくやね)
陸屋根とは、「棟が1つも存在せず、1枚の屋根面が水平に取り付けられた屋根」のことで、勾配がわずかにしか存在しないためにほとんどまっ平らなのが特徴です。
陸屋根は屋上として利用することができるため、マンションや高層ビルで採用されることが多い形状ではありますが、スタイリッシュな外観にできるとして一般住宅でもよく使用されています。
陸屋根という呼称は、「水平」という意味を持つ「陸(ろく)」から付けられたとされています。そのため、陸屋根を「りくやね」と呼ぶのは誤りだとする説も存在しますが、基本的には「りくやね」「ろくやね」のどちらで呼んでも問題はありません。
陸屋根のメリット
陸屋根のメリットとして、以下の3点が挙げられます。
- 屋上のスペースを有効活用できる
- 風の影響を受けにくい
- 天井を高くすることができる
屋上のスペースを有効活用できる
陸屋根には「屋上のスペースを有効活用できる」というメリットがあります。
ご家族や友人と一緒にバーベキューやパーティーを行ったり、ガーデニングや家庭菜園を楽しんだり、ソーラーパネルを設置して電気代を節約したり……といった様々な活用方法が存在します。
敷地の広さから庭を作るのが難しいという場合は、陸屋根の屋上を活用することを検討されてみてはいかがでしょうか。
風の影響を受けにくい
陸屋根は「風の影響を受けにくい」という特長を持っています。
勾配が大きい屋根面は風に当たる面積も大きくなるため、強風によって屋根材に欠けやひび割れなどの症状が出たり、屋根材の飛散が発生してしまいます。しかし、陸屋根には勾配がほとんど存在しないため、風が当たりにくく被害を受けることがありません。
強風による屋根材の破損・飛散を防ぎたい場合は、陸屋根を採用されることをおすすめいたします。
天井を高くすることができる
陸屋根には屋根裏が存在しないため、天井を高くして居住スペースを広くすることができます。
開放感のあるご自宅にしたい方には陸屋根がおすすめです。
陸屋根のデメリット
反対に陸屋根のデメリットとして、以下の3点が挙げられます。
- 雨漏りが起こりやすい
- 屋根裏部屋が無い
- 夏は室温が上昇しやすい
雨漏りが起こりやすい
陸屋根には勾配がほとんど存在しないため、「雨漏りが発生しやすい」という大きなデメリットが存在します。水はけの悪さから、屋根に降った雨水がそのまま溜まってしまうからです。
他の屋根の形状に比べて塗膜の劣化の進行が速いため、屋根の防水性能がすぐに失われてしまいます。すると、溜まった雨水が屋根内部に入り込み、雨漏りや腐食を発生させてしまうのです。
このように、陸屋根は特に「塗膜の防水性能を維持させること」が重要であるため、定期的なメンテナンスをしっかりと行わなければなりません。
屋根裏部屋が無い
陸屋根には「屋根裏部屋が存在しない」という特徴もあります。屋根裏部屋が存在しないことで「天井を高くすることができる」というメリットがありますが、屋根裏部屋を収納スペースや寝室として活用したい方にとってはデメリットになります。
夏は室温が上昇しやすい
また、屋根裏部屋には「屋根からの熱を受け止め、1階・2階の居住スペースに熱が届かないようにする」という効果もあるのですが、陸屋根には屋根裏部屋が存在しないので居住スペースに屋根からの熱が直接届いてしまいます。
夏場の室温上昇を防ぎたい場合は、屋上に緑のガーデンを設置したり、断熱性に優れる屋根材・屋根塗料を使用することで対策するようにしましょう。
⑥招き屋根・差し掛け屋根(まねきやね・さしかけやね)
招き屋根と差し掛け屋根はそれぞれ別の形状なのですが、この2つは一緒に採用されることが多いので、ここでまとめてご紹介したいと思います。
まず、招き屋根は「切妻屋根の片方の屋根面を伸ばしたような屋根」のことを指しています。片方の屋根面は長く、もう片方の屋根面は棟に引っかけられている形となるため、ざっくり「アシンメトリーな切妻屋根」と認識していただいても問題ありません。
その名の通り、手招きしているような形状をしているのが特徴です。
一方、差し掛け屋根とは「建物の1階部分に取り付けられた片流れ屋根」のことです。わざわざ「1階部分」とあるように、2階以上が存在する建物以外には採用されません。
言葉だけだとイメージしにくいと思いますので、下のイラストをご参照ください。1階部分の屋根(玄関ドアの真上にある屋根)が差し掛け屋根にあたります。
また、このイラストでは2階部分が片流れ屋根となっていますが、ここが招き屋根であることも多いです。今回ご紹介するのは、そのような招き屋根・差し掛け屋根がセットになった屋根となります。
なお、招き屋根と差し掛け屋根が同一のものであるとされることもありますが、厳密に言うと招き屋根は「2階以上」、差し掛け屋根は「1階」に存在する屋根なので、この2つは別々の屋根の形状となります。
差し掛け屋根のことを招き屋根と呼んでも伝わるとは思いますが、思わぬ齟齬が発生する可能性もあるので注意しましょう。
招き屋根・差し掛け屋根のメリット
招き屋根・差し掛け屋根のメリットとして、以下の3点が挙げられます。
- 工事費用が安くなりやすい
- 風の影響を受けにくい
- 室内に日光を取り込むことができる
工事費用が安くなりやすい
招き屋根と差し掛け屋根はそれぞれシンプルな形状をしていることから、「工事費用が安くなりやすい」というメリットがあります。
「屋根が2つあるのだから工事費用も2倍になるんじゃないの?」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、招き屋根と差し掛け屋根はそれぞれ切妻屋根、片流れ屋根に似ているため、それらの屋根の設置工事・リフォーム工事と似た工程で施工することができます。
風の影響を受けにくい
招き屋根と差し掛け屋根のセットは「風の影響を受けにくい」というメリットも持っています。
屋根面の面積が大きいほど風の影響を受けやすく、飛散や破損などのリスクも高くなってしまうのですが、招き屋根と差し掛け屋根の2つに分けることで、屋根にあたる風を分散することができます。
室内に日光を取り込むことができる
また、招き屋根と差し掛け屋根の間にある外壁に窓を設置することで、室内に日光を取り込むことが可能となります。
窓のサイズによって日光の量を調整すれば、日光を取り込みすぎて部屋が熱くなってしまうといった事態を防ぐこともできます。
ご自宅の部屋を明るくしたいという方には、招き屋根と差し掛け屋根の組み合わせがおすすめです。
招き屋根・差し掛け屋根のデメリット
反対に招き屋根・差し掛け屋根のデメリットとしては、「差し掛け屋根と外壁の接合部分から雨漏りが起こりやすい」という点が挙げられます。
差し掛け屋根は外壁と接触しているため、この部分の雨仕舞い(雨水が建物内部に入り込まないように防水加工を施すこと)がしっかりと行われていないと、ここから建物内部に雨水が入り込んで雨漏りや腐食が発生してしまう可能性があります。
もちろん雨仕舞いが適切に行われていれば問題ないのですが、経年劣化によって雨仕舞いの効果が無くなってしまうこともあります。
ご自宅の屋根の形状が差し掛け屋根である場合は、定期的なメンテナンスを欠かさず行うことで雨漏りや腐食を未然に防ぎましょう。
まとめ
以上、「片流れ屋根」「陸屋根」「招き屋根・差し掛け屋根」それぞれのメリット・デメリットについてお話しさせていただきました。
工事費用を安く抑えたり、高所に窓を取り付けてスタイリッシュな外観にしたいのであれば「片流れ屋根」、屋上のスペースを有効活用したり、強風による被害を未然に防ぎたいのであれば「陸屋根」、ご自宅を明るくしたいのであれば「招き屋根・差し掛け屋根」といったように、「ご自身がどのようなご自宅にしたいか」によって屋根の形状を選ばれることをおすすめいたします。
次回もまた別の屋根の形状について解説していきたいと思いますので、そちらもお読みいただけると嬉しいです(*^^*)
屋根のリフォーム工事を検討されている方は、ぜひお気軽にガイソー山梨店にご相談ください!(*^^*)