粘土瓦 のメリット・デメリット|耐用年数・費用について解説!

こんにちは☀
ガイソー山梨店です!

皆様は「粘土瓦」と呼ばれる屋根材をご存知でしょうか?
粘土瓦とは、成型した粘土を高温で焼き上げることで作られた瓦です。古墳時代に百済から持ち込まれてから現代に至るまで、日本中の一般住宅や神社仏閣、城などで広く用いられてきました。

粘土瓦には「メンテナンスがほぼ不要」、「防水性能に優れる」、「遮音性が高い」といった様々なメリットが存在します。
しかし、粘土瓦を採用することによるデメリットもまた存在するので、デメリットについてしっかりと理解しないまま工事を行うことで、理想とは正反対な住まいとなってしまう可能性があります。
そのため、屋根のリフォームの前に粘土瓦についての基礎知識を身につけられることをおすすめいたします。

今回は、粘土瓦のメリット・デメリットについて解説していきたいと思います!

 粘土瓦

粘土瓦 とは?

粘土瓦とは「粘土を原料として作られた瓦」のことを指しています。粘土を成型し、高温で焼き上げることで製造されています。

粘土瓦の表面には「釉薬(ゆうやく、うわぐすり)」というガラス質の膜が形成されていることがあります。
釉薬を塗装することによって、粘土瓦のツヤ感と防水性能を向上させる効果が期待できます。
釉薬が塗装されている粘土瓦のことを「釉薬瓦」もしくは「陶器瓦」と呼称するのに対し、釉薬が塗装されていない粘土瓦のことを「無釉薬瓦」、「無釉瓦」と呼ぶことがあります。


粘土瓦は古くから日本の建造物に用いられてきた屋根材で、日本で初めて粘土瓦が用いられたのはなんと588年であるとされています。
古墳時代から現代に至るまで、粘土瓦は一般住宅や神社仏閣、城などで広く用いられました。

しかし、安価でデザイン・カラーバリエーションが豊富なセメント瓦が登場した上に、近年のスレート屋根や金属屋根の台頭に伴い、生産数や使用頻度はかなり減少しています。

 粘土瓦 を用いた屋根


粘土瓦のメリット

粘土瓦を使用するメリットとして、以下の3点が挙げられます。

  • メンテナンスがほぼ不要
  • 防水性能に優れる
  • 遮音性が高い


メンテナンスがほぼ不要

粘土瓦は屋根材の中でも最上位の耐久性を持っており、期待耐用年数はなんと約50年以上であるとされています。
メンテナンスの目安年数は約20~30年であることから、一度メンテナンスを行ってしまえば数十年にわたってメンテナンスフリーな屋根となります。
さらに、釉薬が塗装されている釉薬瓦であれば塗装工事を行う必要がないので、劣化箇所の補修や交換を行うだけでメンテナンスが完了します。
数十年近くにわたってメンテナンスフリー」「メンテナンスの工期が短い」という点は、粘土瓦の最大のメリットであると言えるでしょう。

防水性能に優れる

粘土瓦の表面に釉薬が塗装されている場合、優れた防水性能(撥水性能)が発揮されるようになります
粘土瓦に当たった雨水がはじかれることで、屋根材への雨水の浸透による屋根内部の雨漏りや腐食の発生を未然に防ぐことが可能です

遮音性が高い

粘土瓦には「遮音性が高い」というメリットも存在します。
粘土瓦自体が厚みを持っている上に、野地板(屋根の下地材)と瓦の間に存在する空気の層が内外の音を吸収すことで、騒音に悩まされることのないご自宅を実現できます
粘土瓦の遮音性は屋根材の中でもトップクラスであるため、外部の騒音にお悩みの方はご自宅の屋根に粘土瓦を使用されることをおすすめいたします。


粘土瓦のデメリット

反対に粘土瓦を使用するデメリットとして、以下の2点が挙げられます。

  • 重量の大きさによって建物の耐震性が低くなる
  • 工事費用が高くなりやすい


重量の大きさによって建物の耐震性が低くなる

粘土瓦は、「他の屋根材に比べて重量が大きい」というデメリットを持っています。
屋根材の中でも軽量なスレート屋根が屋根1㎡あたり約20㎏であるのに対し、粘土瓦は約60㎏、種類によっては100㎏近くになることもあります。

重量が大きい屋根材を採用すると、建物の耐震性が大幅に低下してしまいます
地震発生時に建物にかかる負荷(地震力)は「建物の重さ」×「地震層せん断力」という計算式で求められることから、屋根の重量が大きくなればなるほど建物の被害も比例して大きくなってしまうのです
それに加えて、屋根材が重いと建物の重心が高くなるので、地震による建物の揺れ幅もまた大きくなります
地震が発生しやすい日本において、建物の耐震性が低くなってしまうことは大きなデメリットと言えるでしょう。

なお、屋根の重量と建物の耐震性の関係については過去のコラムでも取り上げておりますので、リフォームによってご自宅の耐震性を高めたい方はぜひご参照ください。

(「耐震性の高い・低い建物とは?|耐震性を高めるためのリフォーム方法」
https://kensho-yokohama-tosou.com/success/1854/


工事費用が高くなりやすい

粘土瓦には「工事費用が高くなりやすい」というデメリットも存在します。
粘土瓦自体の価格が高いことに加えて、粘土瓦の取り扱いや施工に専門的な知識・技術が必要となることから、作業費や人件費も他の屋根材に比べて高くなりやすいです。
スレート屋根の工事費用の相場が屋根1㎡あたり約5000~10000円であるのに対し、粘土瓦は約8000~15000円とかなり高価です。

とはいえ、粘土瓦の期待耐用年数は約50年以上とされており、メンテナンスも一度行ってしまえば20~30年にわたって行う必要はありません。
約7~8年おきにメンテナンスを行う必要があるスレート屋根よりも、粘土瓦の方がトータルの工事費用が安く抑えられるという場合も多々あります

初期費用を安く抑えたい場合は粘土瓦はあまり適していませんが、メンテナンス費用を含めたトータルの金額を安く抑えたいのであれば、粘土瓦以上に適した屋根材は存在しないでしょう。
ご自身がどちらを希望されるのかをしっかりと把握した上で、粘土瓦の採用を検討されることをおすすめいたします。

 粘土瓦 を使用した日本家屋


まとめ

以上、粘土瓦のメリット・デメリットについて解説させていただきました。

粘度瓦には「メンテナンスがほぼ不要」、「防水性能に優れる」、「遮音性が高い」といった様々なメリットが存在します。
粘度瓦は期待耐用年数が約50年以上であることに加えて、メンテナンスの目安年数も約20~30年と非常に長いです。
一度劣化箇所の補修・交換を行えば数十年にわたってメンテナンスフリーとなるため、スレート屋根よりもトータルの工事費用が安く抑えられる場合もあります。

しかし、粘土瓦には「重量の大きさによって建物の耐震性が低くなる」、「工事費用が高くなりやすい」といったデメリットも存在します。
屋根の重量が大きくなればなるほど、地震発生時に建物にかかる負荷(地震力)と揺れ幅も比例して大きくなっていきます。
粘土瓦を採用することで地震による建物の被害が大きくなってしまう可能性があるため、地震の頻度が高い日本では大きなデメリットとなっています。

ご自宅の屋根材を粘土瓦に変更したいという場合は、今回ご紹介したメリット・デメリットをしっかりと把握した上で、他の屋根材と比較しながら検討されることをおすすめいたします!(*^^*)

ガイソー山梨店では現地調査・見積り作成を無料で行っておりますので、「粘土瓦のメンテナンスの時期が近付いてきた」「粘土瓦の葺き替え工事を検討している」といった場合は、ぜひお気軽にご相談ください!